顔面神経麻痺

【はじめに 】

顔面神経麻痺とは突然に発症する表情筋の麻痺であり、閉眼不能や摂食困難といった日常生活の支障に加え、美容の面からも患者の苦痛は想像しがたいものがある。
顔面神経麻痺はその障害部位により大きく2つに分類され、脳胸部にある顔面神経計画より中核で障害されたものを中枢性、顔面神経麻痺、各又はその末梢側で障害されたものを抹消性顔面麻痺と言う。

末梢性顔面神経麻痺発症の繊維について、ベル麻痺ではこれまで微少循環障害による血虚説や免疫説など様々な要因が示唆されてきたが、近年ウィルス感染が最も有力とされている。
顔面神経麻痺は中枢性、顔面神経麻痺と末梢性顔面神経麻痺の大きく2つに分けられ、特に鍼灸の適応となる。
末梢性顔面神経麻痺はベル麻痺と半途症候群とに分けられる。

【現代医学的な治療 】

顔面神経の治療方法は保存的治療療法と外科的治療療法に大別できるが、その目的は障害された神経や金の循環改善であり、特に保存的療法や外科的療法の有効性が専門施設により報告されている。
保存的治療法としては
①ステロイドや抗ウィルス薬を中心とした薬物療法、
②星状神経節ブロック、
③理学療法などの保存療法、
④東洋医学的治療法(鍼灸治療、血液)
外科的治療法としては顔面神経元下術を主とした外科的治療法

【鍼灸としての考え 】

東洋医学では、顔面神経麻痺を「面癰」「口眼歪斜」と言う。口眼歪斜は古医籍において中風門に属する事が多く現代医学と同様、中枢性麻痺と末梢性麻痺に分けて考えられている表現がある。

【鍼灸施術 】

こうした口眼歪斜に対する施術は顔面のツボを使うのはもちろんだが、手足の陽経の経絡を中心に使う場合が多い。
また、局所へのお灸や円皮鍼、皮内鍼を使い効果が長く続くような施術をする。

局所へのアプローチは上記の通りで麻痺の状態と表情筋の動きをみながら施術を行う。
根本へのアプローチはそれぞれの体質や五労、外邪、内因、など十分な問診と脈診により行う。
根本にアプローチする事で顔面部だけの施術よりも麻痺の回復が早い。
麻痺の状態は一見同じように見えても細かくみていくとアプローチするツボが違う。
どのツボを使うかどの深さまで刺入するかなど、痛みが少ないながらもしっかりとした効果を追求していく。
治療期間は最初の2か月は週に2回の施術軽い閉眼や頬をふくらます動きが確認出来たら週に1回の施術。その後様子を見ながら間隔を広げていく。